従業員(部下)を心から褒めるのが人を使う第一歩です。人を使うことはマネジメントの本質の一つといえますので普段から意識しなくてはいけません。
「人を使う」とは、命令することではない
「人を使う」というと、つい“上からの指示で動かすこと”のように思われがちですが、本来の意味は「人の力を最大限に引き出し、目的を達成すること」です。
そのためには、部下が自発的に力を発揮したくなる環境をつくる必要があります。
なぜ「褒める」ことが第一歩なのか?
人は、自分の価値を認めてくれる人に心を開きます。
心からの賞賛は、「この人は自分のことを見てくれている」「努力を理解してくれている」と伝わり、信頼関係の土台となる基礎を構築することになります。
褒めることで自己効力感(やればできる感覚)が高まり、部下は主体的に行動しやすくなります。その結果「自分はこの仕事ができるんだ」と思えたとき、人は本来の力を出せます。
また、心理学では、望ましい行動を褒めることで、その行動が定着すると言われており、たとえば、丁寧な対応や前向きな提案を褒めることで、その行動が再び繰り返され良い習慣が生まれます。
「心から」褒めることの重要性
形だけの「褒め」は、かえって逆効果です。相手にも見抜かれます。大切なのは、相手の努力や変化、成長を具体的に捉えて伝えること。
例えば──
×「がんばってるね」だけではなく
〇「昨日のクレーム対応、相手の気持ちに寄り添ってて本当に良かったよ」
そう伝えることで、「ちゃんと見てくれている」という安心感と誇りが生まれます。
部下を使うとは、部下に命令して動かすことではなく、その人のやる気と能力を引き出し、一緒に成果を生み出すことです。
そのスタートラインに立つには、まず「心から褒める」こと。
それは信頼を築き、力を引き出し、成長を後押しする、最もシンプルで強力な方法なのです。
経営者、上司の心構えは?
部下の良いところを「見つけて」「言葉にして」「心から伝えられる」上司・経営者になるには、心構えと習慣の両面が必要です。
観察力を鍛える:まず“見ている”か?
良いところを褒められない人の多くは、「気づいていない」ことが原因です。
忙しくなると、成果やミスばかりに目が行きがちですが、小さな努力・変化・工夫に目を向ける姿勢が必要です。
・日々の行動や表情を「よく観る」意識を持つ
・朝礼や雑談、報告の場で「何か変わったことがないか?」と意識して聴く
・観察メモをつける(メモ魔にならなくても、週1でもOK)
「評価」より「発見」視点で見る
部下を見るときに、「できているか、いないか」ではなく、「この人らしい良さ」「ちょっとの工夫」を見つける視点を持つと、褒め言葉が自然と生まれます。
・「あの子らしさが出た瞬間はいつだろう?」と自問する
・ 1人1人に「○○さんの強みは?」と問いかけるワークを定期的に持つ
具体的に言葉にする訓練をする
「褒めるのが苦手」という人は、「言葉にする練習」が足りないだけ。訓練すれば誰でも上達します。特に「具体的に褒める力」は練習できます。
よくある日常のシーンに対し、褒めコメントを3つ考えてみる(例:掃除していた社員をどう褒める?)
・他の人が褒めている言葉を収集・真似する
・自分の子どもや友人など、職場外で「褒める言葉」を意識して使う
「結果」ではなく「プロセス」も褒める
成果が出たときだけ褒めるのではなく、努力・工夫・挑戦・姿勢など、目に見えにくい部分も意識して評価することが大切です。これは、特に若手や伸び悩む社員に響きます。
・「そのやり方、工夫が見えたよ」と伝える
・ 結果が出なくても「チャレンジしたこと自体」をねぎらう
自分自身が「褒められる喜び」を再確認する
最後にとても大事なことですが、あなた自身が誰かに心から褒められた経験を思い出してみてください。そのとき、どれほど嬉しかったか。その言葉がどれだけ支えになったか。過去に褒められて嬉しかった
・エピソードを3つ書き出してみる
・「自分がされたら嬉しい褒め方」を真似する
心から部下を褒められる上司になるには、特別な才能は必要ありません。必要なのは:
1.よく観る
2.良さを発見する視点を持つ
3.言葉にする練習をする
4.プロセスを認める
5.自分の心にある「褒められた記憶」を思い出す
この積み重ねで、自然と「言葉が出てくる人」になります。
そしてそれは、部下のやる気を引き出し、組織の空気を変える力になります。









